2002 Fiscal Year Annual Research Report
バイオテクノロジーの社会的受容に関する国際比較研究
Project/Area Number |
14710079
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
永田 素彦 三重大学, 人文学部, 助教授 (60271706)
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Keywords | バイオテクノロジー / 科学技術と社会 / 社会的表象 / メディア分析 / 言説分析 |
Research Abstract |
平成14年度は、メディア分析とフォーカス・グループ・メソッドを用いて、日本におけるバイオテクノロジーの社会的受容の特徴を明らかにすることを試みた。第1に、メディア分析については、朝日新聞記事データベースを利用し、バイオテクノロジー関連の記事を網羅的に収集し、頻度分析および内容分析を行った。得られた知見は、(1)新聞記事数(社会的関心の量)は増加し続けていること、特に、1997年以降急増していること、(2)バイオテクノロジーに対して肯定的な記事が一貫して多いものの、バイオ関連の事象を扱う視点が徐々に多様化していること(具体的には、パブリック・アカウンタビリティーの視点からの記事の増加、バイオテクノロジーのリスクに言及した記事の増加)、(3)(EU諸国のメディア報道には見られない)日本独特のフレーム(クローン動物に対する「愛着」の視点)が1997年以降見られること、である。第2に、フォーカス・グループ・メソッドについては、一般の人々からなる4つのグループを対象に、バイオテクノロジーに対するイメージ、バイオテクノロジーの様々な応用や規制に対する意見を話し合ってもらった。ディスカッションの様子はテープに録音し、トランスクリプトを作成し、予備的な内容分析を行った。主な知見は、(1)バイオテクノロジーに対する態度は全般的に否定的であり、特に、遺伝子組換食品とクローン人間(動物)についてその傾向が強い、(2)バイオテクノロジーの規制機関に対する不信が強い。これらの結果を、EU諸国における結果と比較考察した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] A.Hibino, T.Sugiman, M.Nagata, W.Wagner: "Social Acceptance of Biotechnology in Japan"Progress in Asian Social Psychology. Vol.4(in press). (2003)