2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710087
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
藤田 敦 大分大学, 教育福祉科学部, 助教授 (80253376)
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Keywords | 類推的思考 / 専門性の発達 / 類推文完成課題 |
Research Abstract |
本研究では,特定の既有の知識領域に対する専門性の発達レベルを縦断的に調べ,その専門領域を基底領域とする類推的思考過程(知識の検索,写像)を各レベル間で比較し,専門性の発達と類推の関係を定式化していくことを目的としている。まず,情報処理やコンピュータプログラムを学習するクラスの参加者(大学生)を被験者とし,専門的な知識や技術を学んでいく過程で,コンピュータに関する概念の表現がどのように変化するかを測定する課題(類推文完成課題:例「ハードディスクとCPUの関係は()と()の関係のようなものである。なぜなら()だからだ」)を実施した。その結果,学習の初期に見られた大きさや形などの属性的な類似性に基づいて概念を表現するパターンが,授業が進行していくにつれて徐々に減少し,機能的な類似性に基づく表現に変化していくという全体的な傾向が見られた。大半の被験者が生成した表現の多くは,コンピュータの構造上の機能的な関係ではなく,被験者自身がコンピュータを利用する際に必要とする実用的な機能の関係から類似性を見出すというパターンであった。しかし一部の,コンピュータに精通していた被験者は,構造上の機能的関係に着目した表現を行っていた。このように特定の知識領域に対する専門性の差異は,類推文完成課題にも如実に反映されることを確かめた。また,学校カウンセリング等を学ぶ心理学のクラスで,同様の実験(例「スクールカウンセラーと生徒の関係は〜」)を実施し,同様の結果を得た。これら2つの実験を通して,類推文完成課題の妥当性を確かめることができたため,2年目の研究において,当初の目的である専門性の発達と類推的思考過程の関係について,より詳細に検討する実験を行う予定である。
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