2003 Fiscal Year Annual Research Report
製品開発の制度化プロセスに関する日米比較研究:携帯電話端末開発組織の動態比較から
Project/Area Number |
14710127
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
安本 雅典 信州大学, 大学院・経済・社会政策科学研究科, 助教授 (40293526)
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Keywords | 制度(化) / 競争 / 取引関係 / 支配的な製品コンセプト / 制度化された競争 / 製品開発能力 / 同型化 / 携帯電話端末 |
Research Abstract |
まず、平成15年度には、前年度までの成果と既存研究をまとめ、過渡的な成果の発表を行った。こうした途中成果発表は、既存研究と他産業を含む事例をもとに理論的な分析枠組を検討したものと、これまでの調査結果を用い日米間での携帯電話端末開発の相違について現状を概観したものに大別される。 理論的な分析枠組については、新制度学派の論考をレビューし、製品イノベーションに関する研究への応用可能性を検討した。ある製品の使い方(機能)とそれを実現する技術について、一定の社会的な意味、すなわち支配的な製品コンセプトとともに、それを実現する製品開発能力が形作られていく中に、製品開発の制度化プロセスは見出すことができる。そうした制度化プロセスを構成する主な社会的プロセスとして、競争と取引関係を考えることができる。したがって、日米間での製品開発の制度化プロセスの相違は、競争と取引関係のあり方の相違を分析することで明らかになると予測される。 一方、以上の考察と前年度までの成果を反映させ、より詳細なインタビュー調査と業界データの検討を行った。その結果、日本における制度化プロセスの特徴として、メーカー-通信事業者間の取引関係にメーカー間の競争が組み込まれていることが明らかとなった。このような取引関係における制度化された競争を通じ、日本における製品コンセプトは急速に小型・軽量化と多機能化に収斂し、その実現に適した製品開発能力がいずれのメーカーでも一様に形作られた。こうした一方向への同形化圧力の強い制度化プロセスに、アメリカにおけるほぼメーカー間の競争による自生的な制度化プロセスとの大きな相違点は見出せると考えられる。 さらに詳細な検討は平成16年度に委ねられるが、平成15年度には、競争や取引関係を通じていかに製品開発が制度化されてきたのかを検討することにより、日米間の相違の概要を把握した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masanori Yasumoto: "An investigation into the emergence of a dominant product concept"19^<th> EGOS (European Group of Organization Studies) Colloquium (July, 3-5) Proceeding (Web publication). 19. 48 (2003)
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[Publications] Masanori Yasumoto: "An investigation into the role of competition in the emergence of a dominant product concept"信州大学経済学論集. 50号. 37-73 (2003)
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[Publications] 安本 雅典: "製品イノベーションの制度的多様性:携帯電話端末開発の日米比較から(現代社会学における歴史と批判・上巻(グローバル化の社会学))"東信堂(所収). 28 (2003)