2003 Fiscal Year Annual Research Report
冷戦期におけるアメリカの対日プロパガンダに関する実証的研究
Project/Area Number |
14710128
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
井川 充雄 静岡大学, 情報学部, 助教授 (00283333)
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Keywords | プロパガンダ / アメリカナイゼーション / 冷戦 / 文化交流 / 博覧会 |
Research Abstract |
第二次世界大戦後、アメリカは国務省や広報庁(USIA)などの機関が中心となって、アメリカの文化や思想、価値観を具現するさまざまな<モノ>を日本に対して提供してきた。 そこで、本年度は、戦後、日本で開催された博覧会などのイベントに着目し、そうしたイベントなどにおいて、「アメリカ」がどのように表現されているのか、また、それらのイベントに日本のメディアはどのように関わっていたのか、さらにはそうしたイベントが日本の大衆にどのような影響をもたらしたのかについて研究を進めた。2003年8月には、アメリカ国立公文書館等に所蔵されている関連資料の閲覧・複写を行った。そして、1950年3月17日から6月11日まで兵庫県西宮市において開催された「アメリカ博覧会」(主催・朝日新聞社など)における観覧者調査など貴重な資料の収集ができた。 これらの資料などによれば、1950年代初頭の日本における「アメリカ化」は、まず、電化製品などの<モノ>の輸入から始まった。第三次世界大戦でも原子力爆弾の使用により、アメリカの圧倒的な科学力を見せつけたが、戦後は、台所設備やミシンといった家庭におけるさまざまな製品が日本の大衆を魅了した。そして、次第に、そこに通底する合理精神や効率主義といったアメリカの思想・価値観を受容していったのである。 その後、日本は、科学振興に邁進する。これは、科学の発展が人類の生活をよりよくするという「科学信仰」にもとづくものであったのと同時に、科学技術力が国家の威信を示すという意味において、戦後日本のナショナリズムの底流をなすものであったと言える。
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