2002 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄県内の児童養護施設における被虐待児への日常生活場面処遇技術の向上に関する研究
Project/Area Number |
14710137
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
本村 真 琉球大学, 法文学部, 講師 (30274880)
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Keywords | 児童虐待 / 児童養護施設 / トラウマ / 日常生活場面処遇 |
Research Abstract |
本研究においては、沖縄県内の児童養護施設における被虐待児童への日常生活処遇の実体を知るために、まず全児童養護施設の職員に対してアンケート調査を実施した。その結果、基本的な処遇技術に関して、日頃用いる頻度のみでなく、その技術を知っているかどうかに関しても職員間で差が見られた。また、職員として援助が困難と感じている「問題行動」としては、施設内外における性的な問題や自傷行為等があげられていた。加えて、これらの処遇困難な,瞳への処遇に関して、沖縄県内においても適切なスーパービジョンを活用できる機会が少ない状況にあることも確認された。 離島地域出身の被虐待児童に対してそれまで暮らしていた地域から海を隔てた遠隔の地にある施設において処遇を行うことに関しては、57.3%の職員が難しい課題が生じるとしている反面、虐待者と地理的に離れることで児童の不安が減少したり、施設と虐待者とのトラブルの機会が減少するということに関しては、逆にプラスの面であると感じていることがわかり、一概に同一地域における施設処遇が望ましいと職員が考えていないことが確認された。 これらの調査結果も踏まえながら、10月、11月、12月、2月に児童養護施設職員を対象にしたトラウマ理論を中心にすえた処遇技術に関する研修会を実施し、そのうち12月の研修会はサンフランシスコ州立大学名誉教授田中万里子博士を沖縄に招聘して実施した。これらの研修会終了後のアンケート調査等から、児童の日々の中でみられる「問題行動」を理解するためのトラウマ理論、効果的なコミュニケーションに関する技法、職員が冷静さを保つ技法個々の事例に即したスーパービジョンが今後の処遇技術に役立っということが確認された。
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