2002 Fiscal Year Annual Research Report
重度障害者の地域生活を支えるための社会福祉実践モデル構築に関する研究
Project/Area Number |
14710157
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
三毛 美予子 甲南女子大学, 人間科学部, 講師 (40340913)
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Keywords | 全身性障害者 / 地域生活支援 / 通所施設 / 質的調査法 |
Research Abstract |
この研究は、西宮市の重度障害者通所施設・青葉園における社会福祉実践を、質的調査法に基づき調査することによって、重度障害者通所施設における地域生活支援に関する社会福祉実践の1つのモデルを構築することを目的としている。青葉園を利用している障害者の大半は親と同居しその介護を主に受けて生活しているが、親の高齢化と本人の加齢に伴い、今後どのように地域で生活しそれをどのように実現していくのかということが、障害者自身と施設が取り組む課題となっている。今年度は、こうした状況にある2人の全身性障害者に焦点を当て、(1)将来の地域生活の仕方を決めその実現にむけて働く過程の特質、(2)その過程の中で障害者が取り組まなければならない課題について、明らかにした。 障害者が自分の地域生活を決めその実現に向けて働く過程は、「責任・実行主体のシフティング」の過程と、カテゴリー化した。これは、障害者が生きていく上で必要な身体介護・家事・健康管理について、思慮・選択・決定しそれを実際に行う者を替えていくことを意味する。障害者は生まれてから両親と共に生活しているため、成人後も幼少期からの継続で、家庭での身体介護や家事は主に母親が、健康管理については本人も関与するが母親や青葉園職員が、責任を持ち実行する。それらの責任・実行する主体を、母親や青葉園職員から、障害者自身と第三者の介護者へと変更していく過程が、責任・実行主体のシフティングの過程である。そして責任・実行主体がシフティングしていくための障害者側の課題は、(1)金銭管理の方法の習得、(2)社会福祉制度の管理方法の習得、(3)健康管理、(4)調理・整理整頓などの家事方法の習得、(5)介護者への指示の仕方と介護方法伝達の向上、(6)介護者の養成と関係構築であることが明らかになった。
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