2002 Fiscal Year Annual Research Report
「地域婦人会」の現代的機能と新たなネットワーク形成
Project/Area Number |
14710160
|
Research Institution | Hiroshima Kokusai Gakuin University |
Principal Investigator |
眞鍋 知子 広島国際学院大学, 現代社会学部, 講師 (70320025)
|
Keywords | 地域婦人会 / コミュニティ機能 / 町内会 / 地域集団 / 女性会 |
Research Abstract |
本研究では、地域社会学や都市社会学の領域において「地域婦人会」を研究する事の可能性を追求する。本年度は、「地域婦人会」に関する豊富な史資料を収集し、以下のようにこれを分析した。 まず新聞記事の検索によって、明治期に成立した「地域婦人会」が、現在では会員数も減少し、その活動も衰退化傾向にあることを明らかにした。これにより、「地域婦人会」がはたしてきた機能は必要なくなりその役割を終えようとしているのか。それともNPOなどの新たなアソシエーションが、「地域婦人会」の機能を代替していくのか、という問いに答えるという問題設定が確認されたのである。 さらに、「地域婦人会」の歴史をたどったうえで、「地域婦人会」の概念を三点から定義した。第一に「女性であること」、第二に「定められた一定の地域的範域に居住していること」、第三に「定められた一定の年齢層であること」、である。「組織原理」や「機能や目的」からの定義では、日本全国に多様なかたちで存在する「地域婦人会」を包括的にとらえきれない。最低限の「成委員資格」を提示することで、地域の事情によってさまざまな形態をとってあらわれる「地域婦人会」のすがたを総合的に分析する事が可能となる。 そのうえで、従来の地域社会論の議論を精読することによって、「地域婦人会」に関する知見がどのように得られているかについて明らかにした。その結果、「地域婦人会」には、「町内会」をサポートしつつ他集団をネットワークすることで、地域コミュニティ全体の成員間の統合を促進し、共同性を醸成させていくような機能が期待されているという結論が得られた。すなわち、本来「地域婦人会」は、単一機能集団であると考えられるものの、町内会のもつ包括的な機能のように、「地域婦人会」もまた手段的ではなく具現的な次元での機能をコミュニティにおいてはたしていたのである。
|
Research Products
(1 results)