2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本語と英語を母語にしうる国際児をめぐる多文化数育についての比較調査
Project/Area Number |
14710184
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
渋谷 真樹 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (80324953)
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Keywords | 多文化教育 / 異文化間教育 / イギリス / 国際児 / 言語 / アイデンティティ |
Research Abstract |
本年度は、イギリス在住で、家庭で日本語と英語が話されている子どもの教育とアイデンティティ形成について研究した。 まず、日本で生まれ育った女性で、非日本人との子どもを育てている母親30人余りに聞き取り調査を行った。そこからは、自分の手どもが日本語を話せることを対象者達が望んでいることがわかった。その理由は、「日本で役立つから」、「就職に有利だから」といった実利的なものから、「自分や自分の両親などとのコミュニケーションのため」、「日本人としてのアイデンティティのため」というものまであった。そして、日本語を伝えるために、「母子間では日本語で会話する」、「日本の本やビデオなどを与える」、「日本に一時帰国する」などの工夫をしていることがわかった。しかし、家庭だけでは子どもの日本語習得には十分でないことが多かった。そのため、日本語で行われる補習校やサークルでの活動を利用している母親もいることがわかった。 次に、補習校やサークルを参観した。補習校は、駐在家庭の子どものために日本企業などが中心になって設立され、従来は、帰国のための準備という役割が主であった。しかし、近年は、国際結婚家庭を含めた永住予定の子ども達が無視できない割合になっている。そのため、国語ではなく日本語を学ぶクラスを設置したり、国際結婚家庭の保護者が積極的に活動したりしている学校もある。一方で、講師の多くが国際結婚者である学校でも、国際結婚者の意見はあまり出されずに、駐在家庭中心の教育が行われている学校もある。 サークルには、国際結婚をした日本女性の会や、出産や育児の互助グループ、本の読み聞かせや貸し出しを行う団体などがあった。駐在家庭とともに活動しているサークルも多くあった。そこでは、書物や遊び、歌などを通した日本文化の紹介が行われていた。また、情報を交換し連帯感を強める、重要な日本人コミュニティになっていることもあった。
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Research Products
(3 results)