2002 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国の公教育行財政制度改革にみる教育機会の平等化メカニズムの形成
Project/Area Number |
14710195
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
西村 史子 聖徳大学, 人文学部・児童学科, 講師 (10316846)
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Keywords | 家庭財力平等化プラン / 税額控除 / 所得控除 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
本研究は、チャータースクールの推進政策と家庭財力平等化政策の相互補完性を1980年代以降のアメリカ合衆国の公教育行財政改革の動向を分析し抽出することを目的としている。本年度は、家庭財力平等化政策の推進状況を概観し、特にk-12学年の教育に関わる税額控除・所得控除政策の各州における進展状況を、「アメリカ合衆国におけるバウチャープランの展開-税額控除・所得控除政策に期待される学校選択の自由の拡大-」『聖徳大学研究紀要』第13号(2002年)で整理した。 上記の研究成果は、バウチャープランから派生し、私立学校に子弟を通学させる世帯に対する教育費を対象とした税額控除・所得控除政策が、司法府により合衆国憲法のエスタブリッシュメント条項違反に問われないと判断され、各州で検討され導入されはじめていること、さらに連邦政府もこれらの税控除政策を支持している事実の確認であった。また、学校に通学する子弟を有しない納税者(個人および法人)が、私立学校通学者に対する奨学団体への寄付や公立学校への寄付について控除を受ける政策もまた実施されはじめており、代表民主制あるいは間接民主制の社会に立脚した税の徴収と配分のメカニズムが、納税者の自主的な判断による税金の使途を認めることによって変容し、伝統的な私立公立の区分を超えた公教育を支える新たな公教育行財政システムの萌芽が見出された。 次に、各州の(1)チャータースクールの設置状況、(2)バウチャープランの進展状況、(3)k-12学年の教育費に関わる税額控除・所得控除政策の実施状況を比較すべく、まずはフロリダ州の公教育財政の改革動向を、「フロリダ州における教育行財政改革の動向」『児童学研究-聖徳大学児童学研究所紀要-』第5号(2003年)で概説した。同州は(1)(2)(3)の全てが相互補完しながら、児童生徒の学校選択の自由を保障し学力向上を目指す政策が進行中であることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)