2002 Fiscal Year Annual Research Report
幕末維新期における外国人墓地の成立に関する基礎的研究
Project/Area Number |
14710222
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Research Institution | Institute of Technologists |
Principal Investigator |
土居 浩 ものつくり大学, 技能工芸学部, 講師 (20337687)
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Keywords | 外国人墓地 / 幕末維新期 / 土地問題 / 国際問題 |
Research Abstract |
本年度は、主として国立公文書館所蔵および長崎・函館・横浜・神戸の各都市における公共図書館において、資料所蔵調査を行なった。国立公文書館においては、東京および横浜根岸村、そして長崎における外国人墓地に関する資料が確認できた。地方公共図書館においては、幕末維新期の同時代資料いわゆる一次資料に限らずに、近年までの外国人墓地に関する調査研究も含めて、資料として所蔵調査を行った。各地の公共図書館における資料所蔵調査を通して見えてきたことは、予想以上に地元において地道な研究がなされていることであり、同時にまた、「外国人墓地」として体系だてられるべき整理が、予想以上になされていないことである。ほとんどの施設において、近年ではウェブを利用した所蔵検索システムが整備されつつあるので、資料そのものの検索はきわめて容易であった。しかしその一方、資料が集まるごとに明らかになってきたのは、「外国人墓地」についての(調査研究あるいは随筆風の読物まで含む広義の)資料であるにも関わらず、資料相互の関連性がほぼ皆無である事実である。資料情報整備とともに、この相互無関連性の原因についても考察する必要があることが、調査を通して明確になってきた。たとえば今年度の調査で確認できた長崎県立図書館郷土課所蔵「外国人埋葬地一件」の表紙は、「外務課」に朱線が引かれ、朱書きで「土木課」と記されている。各地の行政当局においても外国人墓地は、国際課あるいは観光課などではなく、むしろいわゆる一般の墓地と同様に衛生課の管轄であるのが目立つ。国立公文書館所蔵資料では、土地問題としての外国人墓地に関する資料が目立つ。制度的では土地問題でありつつ、表象的には国際問題であることが、外国人墓地の関連資料が非体系的である原因ではないか、との予想が本年度の調査により導かれた。
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