2002 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における帝国意識の形成過程と植民地台湾との人的移動の関連をめぐる研究
Project/Area Number |
14710231
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
松田 京子 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (20283707)
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Keywords | 台湾領有戦争 / 台湾原住民 / 国籍 / 理藩五ヶ年計画 / 法学 / 日清講和条約 |
Research Abstract |
本年度は、第三期台湾領有戦争と評される台湾原住民への軍事「討伐」実施(「理蕃五ヶ年計画」)に先駆けて、植民地統治初期の政策実行の中で、原住民がどのような存在として位置づけられ、取り扱われていくのかを、日本「内地」と植民地台湾との人的・知的移動という側面に焦点をすえて研究をすすめた。 そこで(1)台湾原住民は台湾領有以後約十年間を経た段階においても、法治の対象とみなされるのか否か-つまり法的人格として認定されるのか否か-が、曖昧な存在として政策実行の中で扱われ続けたということ。(2)一点目と深く関連して台湾原住民は、国籍上「日本人」とみなされるのか否かという点でも、政策実行上も、また法学的議論においても、その境界線の上に置かれ続けたということ。(3)台湾原住民の国籍をめぐる法学的な論争は、それに先駆けて日本「内地」で展開された「日清講和条約と国籍移行」をめぐる論争から、大きな影響を受けているということ。(4)第一点目、第二点目の動向は、「理蕃五ヶ年計画」実行に向けての地ならしとしての側面を、たぶんに含み込んでいたということ。(5)第三期台湾領有戦争の戦闘員として日本「内地」から台湾に渡った兵士を媒介とし、その兵士を送り出した地域社会に、ある一定の台湾原住民認識が急速に広まっていったということ。以上の五点を、国内調査および台湾調査によって収集した資料を分析することで、具体的に解明した。 これらの研究成果は、第二回国際シンポジウム「台湾の近代と日本」(中京大学)、「ナショナルアイデンティティの多層化と多文化社会の将来」研究会(立命館大学)などの国際学会・国内研究会で報告を行うとともに、そこでの議論をふまえて、論文「領台初期における台湾原住民をめぐる法学的言説の位相-『帝国臣民』の外縁と『帝国』の学知-」(『日本学報』第22号)、「台湾原住民の法的位置からみた原住民政策の展開-植民地統治初期を中心に-」(『台湾の近代と日本』)としてまとめ、発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 松田 京子: "領台初期における台湾原住民をめぐる法学的言説の位相-「帝国臣民」の外縁と「帝国」の学知-"『日本学報』(大阪大学大学院文学研究科日本学研究室). 第22号. 23-37 (2003)
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[Publications] 松田 京子: "台湾原住民の法的位置からみた原住民政策の展開-植民地統治初期を中心に-"『台湾の近代と日本』(中京大学社会科学研究所). (発表予定). (2003)