第二次大戦後、北部九州地域における在日朝鮮人と朝鮮半島・日本社会に関する基礎研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14710233
• Research Institution: Fukuoka University of Education
• Principal Investigator: 小林 知子 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (10325433)
• Keywords: 北部九州 / 在日朝鮮人 / 朝鮮半島 / 国際関係 / 民族 / 冷戦 / 日本占領 / 東アジア

Research Abstract

本年度も研究計画に基づき、基礎資料・研究文献の調査・収集・分析にあたった。昨年度入手した国会図書館所収のGHQ文書の分析をはじめ、今回あらたに、滋賀県立図書館朴慶植文庫、そして博多引揚援護局、佐世保引揚援護局(大村入国管理センターの前身、現在跡地はハウス・テンボス)の調査に着手することができた。
ところで、課題研究を進める過程で、第二次大戦直後における、日本から朝鮮への朝鮮人の帰還問題と、この問題をめぐる戦後の日本社会と朝鮮半島のありかたについて具体的に検証しうる、長崎県壱岐における「水難事件」についても調査をおこなうことができた。北部九州地域(博多港か門司港かは不明)から朝鮮への帰還途上で台風に遭遇したものの上陸できず、多数の死者が出たという事件であるが、この問題に地元地域および県・国がどのように対処してきたのか、現在、その遺骨をめぐってどのような問題が起こっているかについて知り、調査を進めることができた。来年度は本課題研究の最終年度であるが、こうした具体的な事件を軸に、北部九州地域における在日朝鮮人と朝鮮半島・日本社会の連関性についてまとめていきたいと考えている。
なお、今年度は、予定していた米国公文書館での資料調査を諸般の事情から実現することができなかった。それに代わって、あらためて国会図書館所収のGHQ文書調査はおこなうことができ、あらたな資料も得られたが、来年度早々には、計画通り、年度と地域をしぼっての米軍の日々報告書を検討したいと思っている。