2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710240
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
曲田 浩和 日本福祉大学, 経済学部, 講師 (00329765)
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Keywords | 廻船 / 白子廻船問屋 / 知多白木綿 / 瀬取船 / 新田開発 / 難船 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度に引き続き白子廻船と廻船問屋の関係を伊勢・尾張・三河の木綿の等級(銘柄)を考慮した研究を行った。白子廻船問屋の安定した地位を保つためには、良い等級の木綿を確保する必要があった。18世紀半ば頃までは知多白木綿は、他と競いがたいほど低ランクであったが、19世紀前半には、晒技術の向上もあり、ある程度の上級に属する知多木綿も作られるようになった。このことは江戸木綿問屋に従属化する白子廻船問屋の活動を考える意味で重要であると考える。 また、今年度は三河側の平坂湊の研究を行った。18世紀後半までは、新田築立が必ずしも平坂湊の条件を悪くするわけでなく、新田が矢作川の土砂を遮断する役割を持つことに注目した。しかし、19世紀前半の大規模開発では新田が海へと伸び続け、平坂湊沖合二里でないと廻船は停泊できなくなってしまった。湊と廻船をつなぐ瀬取船の役割は大きくなった。岩瀬文庫の創始者として有名な岩瀬弥助は、このような瀬取船で荷物を運ぶうちに米・干鰯商人となり富を築くこととなった。以上は平成15年度愛知県史を語る会「平坂湊と廻船・商人」で報告した内容である。 さらに、昨年に引き続き尾鷲公民館蔵の須賀利家文書の調査を行った。今回は船輸送を中心に御用留の調査を行った。御用留では、紀州藩木本役所や尾鷲組大庄屋との関係をみることができた。また、漁業・山林業による生活実態や村の事件なども明らかになった。ちなみに、嘉永3年と同5年の御用留が残されている。 中田四朗氏所蔵写真フィルム資料は、尾鷲大庄屋記録と志摩国に残る船輸送・難船資料であることがわかった。志摩国の文書としては、小浜区有文書(海の博物館所蔵)、石鏡区有文書(石鏡漁協所蔵)のものと照合できることが確認できた。しかし。そのほかに相差区有文書、安乗区有文書もあり、原本照合はできていない。
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Research Products
(1 results)