2003 Fiscal Year Annual Research Report
近代大阪周辺地域における相撲の興行システムに関する研究
Project/Area Number |
14710245
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Research Institution | Osaka City Cultural Properties Association |
Principal Investigator |
飯田 直樹 (財)大阪市文化財協会, 学芸部, 学芸員 (10332404)
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Keywords | 相撲 / 角力 / 草相撲 / 力士 / 侠客 / 興行 |
Research Abstract |
この研究の目的は、主として近代において、大阪周辺の在地社会で相撲興行が開催される際に、どのような集団が関係し、それぞれの集団はどのような役割を果たし、それらの集団はお互いにどのような関係を取り結んでいるのか、ということを明らかにすることである。対象とする地域の範囲は、旧摂津、河内、和泉の三ヶ国とし、特にこれらの地域におけるプロの相撲渡世集団と素人の草相撲集団との関係に注目する。 本年度は、まず、旧大坂三郷地域、特に新地として開発された堀江地域や塩干魚の市場があった靭地域と、相撲興行や相撲渡世集団との関わりについて検討した。元禄期以降、近世を通じて、堀江地域の町制機構が相撲興行に大きな影響をあたえていたこと、大阪相撲のいくつかの部屋は、靭の市場で活動していた仲仕集団から派生したことなどを明らかにし、これらの研究成果の一部は、「大阪相撲発祥の地-堀江-」(『大阪人』第58巻・6号)に発表した。 次に、和泉市内の相撲史跡を調査し、和泉市を含む泉北地域に堺泉北相撲協会という草相撲集団が戦後直後まで存在し、和泉市内の南王子地域がその中心的な役割を果たしていたことなどを明らかにし、この研究成果の一部は、和泉市いずみの国歴史館での講演「戦前泉州の相撲の歴史」(2003年11月9日)にて発表した。 最後に明治期の消防行政を検討する過程で、特に明治初期に「野蛮」「未開」なものとして社会から異端視されかけていた相撲渡世集団が、社会内での自らの地位を高めるために、消防行政に関わろうとしていたことなどを明らかにし、これらの研究成果の一部は、「近代大阪の消防職員-特設消防成立期に焦点をあてて-」(塚田孝編『大阪における都市の発展と構造』山川出版社)に発表した。
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Research Products
(2 results)