2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710248
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
城山 智子 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (60281763)
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Keywords | 中国 / 銀本位制 / 金本位制 / 外国銀行 / 国際通貨システム |
Research Abstract |
本研究は、従来の中国経済史研究では十分に検討されていない、国外との間の資金の移動に焦点を当て、中国経済と国際通貨システムとの関係を明らかにすること、そうした対外経済関係の下での財政金融政策の形成.施行に考察を加えること、を課題とする。本年度は、数値データに基づく中国と国際通貨システムとの関係の動態分析を中心に作業を進めた。重要な資料の一つは、中国の対外金融取引の大部分を扱っていた、在華外国銀行の記録であるそれらを、外国銀行と取引関係を結び、又、都市部の企業や商人のみならず農村部の金融機関へも資金を供与していた、中国系銀行と銭荘の文書、帳簿を既刊の統計資料と併せて利用することにより、国際.国内金融市場の連鎖に考察を加えた、その結果、主に次の3点の知見を得た。(1)19世紀半ば以降の国際市揚における銀価の下落は、金本位制を採る欧米諸国を本拠としつつ、世界で唯一銀本位制を採る中国で事業を展開する在華外国銀行の経営を、非常に困難なものとした。20世紀初頭には、銀価下落に起因する為替差損を回避するために、在華外国銀行は、中国で得た利益は再投資するようになっていった。(2)在華外国銀行による余剰資金運用のブローカーとして、銭荘が重要な機能を果たした。又、在華外国銀行との取引が拡大するに伴い、上海金融市揚では、伝統的な対人信用から対物信用によって、金融取引に伴うリスクを回避する傾向を強めた。(3)在華外国銀行からの資金の供与に大きく依存することで、上海金融市場は不安定な要因を内包することになった。実際に、1931年以降、各国の通貨切り下げによって銀価が高騰すると、中国からは資金が引き上げられ、上海金融市場は深刻な危機に陥った。
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Research Products
(1 results)