2002 Fiscal Year Annual Research Report
近現代タイにおける女性仏教運動-ジェンダーの視点から見た仏教社会の構造と思想史-
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14710254
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 友美 神戸大学, 国際文化学部, 講師 (40337746)
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Keywords | タイ / 仏教 / 女性 / 比丘尼 / メーチー |
Research Abstract |
平成14年度には、同年度に交付された科学研究費補助金により、三度にわたる海外調査を行った。まず平成14年7月、台湾で開催された第7回サクヤディータ国際女性仏教徒会議に出席・報告を行い、現代タイ上座部仏教における比丘尼復興に直接の支援を与えた。海外の女性仏教徒と交流・意見交換・インタヴューを行った。特に、サクヤディータ会長Karma Lekshe Tsomo(チベット仏教に帰依するアメリカ人比丘尼)、現代スリランカにおける最初の比丘尼とその在家支援者、スリランカの比丘尼復興を支援した韓国および台湾の仏教僧団について、大きな知見を得ることができた。次に、同年8月、タイにて19日間の調査を行った。タイ滞在期間中、現代タイにおける上座部比丘尼復興運動のきっかけとなった2001年2月チャスマン・カビラシンの沙弥女出家以降の新聞記事を収集するほか、チャスマンの寺で実施されていた女性仏教徒の研修に参加し、参加者の体験・主張などについての調査を行った。また、チャスマンに続いて沙弥女に出家した、現代タイにおける第2、第3の沙弥女、彼女らの出家を支援したタイ人比丘、タイ人大乗比丘尼、アメリカ人比丘尼、そしてタイ・メーチー協会(メーチーとはタイ上座部仏教において伝統的な白衣の女性修行者)に対しても、インタヴュー調査を行った。そして、平成15年3月、14日間にわたり、タイにて、新聞記事収集、関連行事参加、比丘尼復興運動およびメーチー地位向上運動のリーダー・支援者および反対者15名にインタヴュー調査を行った。その結果、比丘尼復興運動とメーチー地位向上運動を通じて、宗教における女性の権利、上座部仏教社会における女性観・ジェンダー観などの論点が浮かび上がってきた。
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