2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14710254
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 友美 神戸大学, 国際文化学部, 講師 (40337746)
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Keywords | タイ / 仏教 / 女性 / 比丘尼 / メーチー |
Research Abstract |
2003年度には、4月25日〜5月5日と、2月8日〜24日の二度にわたって、タイへ渡航し、調査を行った。いずれの調査においても、新聞記事収集および関係者へのインタヴューを通じて、比丘尼復興運動における最新の情報および知見を得ることかできた。 第1回の調査では、主として比丘尼復興運動をリードしているダンマナンダ師の寺において行われている新規の女性出家者のためのトレーニング・プロジェクト、そしてそれを支援する知識人たちの啓蒙活動の進行状況を調査した。また、タイ・メーチー協会会長にインタヴューを行い、比丘尼出家に最も関心が高いはずの女性修行者メーチーの間で、比丘尼復興運動を疑問視する態度が、非常に強いことが確認された。これと並行して、メーチーが行っている農村開発プロジェクトや教育機関を見学し、比丘尼という出家の形式にとらわれない活動とその実績について、理解を深めた。 第2回の調査では、主に、ダンマナンダ師の寺以外の場で、独自の修行生活を送る沙弥尼を訪問し、調査を行った。第一の例は、タイ南部ナコンシータンマラート県に、女性のみの寺を新たに設立したものである。その沙弥尼は、自分の出身村に近い土地を選び、近隣の住民および男性比丘の理解を得ようと試みていた。訪問時には、老若男女を問わない支持と共に、一部の在家男性からの嫌がらせも見られた。第二の例は、タイ東北部チャイヤプーム県の山中にある、男性比丘の寺に起居する沙弥尼である。この寺の比丘は女性の出家に理解を示し、彼女は修業に専心できる環境が得られていた。その反面、従来、男性の比丘・沙弥が行ってきた儀礼等について、男女の隔たりのために、十分な教育サポートを受けることができないという問題点もみられた。この他、タイ人比丘が、過去のサンカラート令に反するにもかかわらず、公然と2名の沙弥尼を出家させており、比丘尼復興運動に新たな進展がみられることが碓認された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tomomi Ito: "Buddhist women and the bhikkhuni restoration movement in contemporary Thailand"Bridging worlds : Buddhist women's voices across generations(Taipei : Yuan Chuan Press). (2004刊行予定)(未定). (2004)
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[Publications] Tomomi Ito: "Women's rights, ordination and dhamma practice : a reflection on recent movements of Thai Buddhist women"WFB Review. Vol. XL, No.4(2004年3月刊行予定)(未定). (2004)