2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710285
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
清水 昭博 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第1課, 主任研究員 (20250384)
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Keywords | 素弁蓮華文軒丸瓦 / 飛鳥寺「花組」・「星組」 / 金徳里瓦窯跡 / 冠硯里窯跡 / 官北里遺跡 / 弥勒寺跡 |
Research Abstract |
本年度ははじめに素弁蓮華文軒丸瓦出土遺跡の全国的なデータ集成を行った。およそ6世紀末から7世紀前半の時期に属する軒丸瓦が出土する遺跡は約105遺跡を数える。そのほとんどは畿内に分布し、そのうち約半数が大和に集中することが判明した。初期寺院の展開の実態を反映する遺跡の分布状況とみることができる。 つぎに、韓半島、とくに『日本書紀』等の文献史料においても密接な関係があるとみることができる百済の軒丸瓦と飛鳥寺の軒丸瓦の瓦当文様、製作技法の比較を報告書等の文献によって行った。その結果、飛鳥寺のいわゆる「星組」の瓦当文様が公州大通寺創建瓦の系譜にあること、「星組」の製作技法に特徴的な丸瓦先端「片ほぞ形」加工、瓦当裏面回転なで技法の技術が百済でも広く展開していることがわかった。とくに、舒川郡金徳里瓦窯跡、青陽郡冠硯里窯跡出土品は瓦当文様と製作技術の両面ともに「星組」と類似しており、日本における初期瓦生産に参画した瓦工集団を特定するうえで注目できた。「花組」の瓦当文様は従来から扶余官北里遺跡出土品等に類似することが指摘されているが、製作技法は「花組」と異なることを確認した。「花組」の丸瓦先端凸面をカットする技法は百済ではほとんどみられないが、益山弥勒寺跡出土品にその可能性がある資料を確認した。「花組」瓦工集団の出自を探るうえで注目できる。
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