2002 Fiscal Year Annual Research Report
現代東北方言の文法的諸特徴の記述およびその変容に関する調査研究
Project/Area Number |
14710289
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
半沢 康 福島大学, 教育学部, 助教授 (10254822)
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Keywords | 東北方言 / 方言変容 / 文法 / グロットグラム |
Research Abstract |
本研究の目的は,現在の東北方言における文法的諸特徴の世代的な変容とその地域差および伝播の様相を探ることにある。より具体的には,東北地方の中でも特に共通語化が進んでいる東北南部・南奥方言地域を対象に調査を行う。 今年度は共通の調査票を用い,南奥方言域の複数地点においてまず詳細な文法記述調査を実施した。南奥方言の様々な文法特徴のうち「〜べー」「〜ッケ」「〜デー」「〜シタ」「〜ッチャ」などのモダリティをになう文末形式,「分カンネ」「見ラッチャ」「飲ンベ」「見ッタイ・見るダイ」などに見られる形態音韻論的な問題,「〜ッタ」などのアスペクト表現を取り上げ,高年層・若年層を対象に調査を行った結果,共通語化とは異なる方言自体の変容の様相をとらえることができた。 さらにその結果を踏まえ,多地点各世代の話者を対象とした小規模なグロットグラム調査を実施した。地域差・年齢差の詳細なデータを収集し,単純な共通語化とは異なる,若年層に向けての方言の変容の様相をより広い地域で観察した。今年度の調査は予備的な調査と位置付けられる。 来年度以降は,さらに多くの地点での記述調査を実施するとともに,今年度のグロットグラム調査を拡充し,より広い地域での方言変容・伝播の様相を把握する。最終的には,他のグロットグラムデータをも活用し,現在の南奥方言域における方言の変容と伝播の様相について多変量解析を適用した考察を行う予定である。
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