2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710295
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
青木 博史 京都府立大学, 文学部, 助教授 (90315929)
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Keywords | 語 / 句 / 包摂 / 例外 / ミ語法 / 抄物資料 |
Research Abstract |
本年度における研究の業績は以下のとおりである。 (1)書評「山田潔著『玉塵抄の語法』」『国語学』54巻2号,(国語学会,2003年4月) (2)口頭発表「古典語における「句の包摂」-例外的現象からのアプローチ-」<シンポジウム:<周辺><例外>と向き合う>(日本語文法学会第4回大会,青山学院大学,2003年11月) (1)は,国語学会からの依頼による,書評論文である。これまでの抄物資料研究史を素描し,その中で本書がどのような意義を持つか,という点を中心に述べた。本書では,膨大な量の『玉塵抄』全巻にわたる悉皆調査が行われており,貴重なデータが数多く示された点に,まずその価値が認められる。用例に基づいた手堅い論証方法には参勘すべき点も多いが,その一方で物足りなさもある。今後は,より広い視野に基づき,本書で示されたデータをさらに分析していく必要があることを述べた。 (2)は,日本語文法学会からの依頼による,シシポジウムでの口頭発表である。発表の前半では,「語」の内部に「句」が包み込まれる「句の包摂」現象について述べた。古代語における「句の包摂」は,接続助詞的なものと形容動詞的なものの2種に分けられるが,この2種の分類は現代語においても適用できると考えられ、この現象に歴史的普遍性が見られることを述べた。後半では,上代の「ミ語法」について,句を包摂した「〜サ」の構造に基づき、分析を試みた。原因理由を表す,形容詞述語によって構成される,叙法が分化.されない,などの共通点を持つ両者は,その構造においても,「Aハ,{BガCサニ}D」と「Aハ{BヲCミ}D」という,非常によく似た構造を有している。以上のように,古典語における「例外的」現象に対し,「句の包摂」という純一的な観点からの分析の可能性を示した。
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Research Products
(1 results)