2002 Fiscal Year Annual Research Report
中世小歌圏歌謡と先行歌謡(早歌・謡曲)との比較研究
Project/Area Number |
14710302
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
姫野 敦子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (90334268)
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Keywords | 日本文学 / 中世歌謡 / 中世芸能 / 早歌 / 小歌 / 謡曲 |
Research Abstract |
本年度の研究実績概要 本研究は室町時代の流行歌謡・「小歌」と先行歌謡の「早歌」・「謡曲」を比較分析し、「小歌」の音楽的実際とその性格を明らかにするものである。 早歌については、外村久江・外村南都子著の『早歌全詞章』を底本にして、早歌の全歌詞を電子テキストファイル化し、200近くある長編歌謡・早歌の多彩な歌詞の検索を容易にした。また、漢字仮名混じりの形態からこれは次年度以降のゴマ譜(節博士)の比較対照、データベース化のための基礎的作業でもある。 一方で、早歌譜の善本調査のため、北海道大学所蔵の『拾菓集』、京都大学文学部蔵の『宴曲集』などの、『閑吟集』ならびに冷泉家時雨亭文庫蔵『早歌抜書』関連の早歌譜の調査を行い、節博士の検討をおこなった。引き続き、調査しきれなかった早歌譜善本も多いので、調査を継続する。 また、専修大学図書館、菊亭文庫目録に謡曲として分類されていた『究百集』が今まで紹介されていない新出の早歌資料であることを指摘。より以上の調査を要するが、引き続き精査し、来年度以降に紹介する予定である。 また、謡曲については、基礎的作業として、『閑吟集』所収の謡曲の小段構造をあきらかにするため、囃子の手附(伴奏)を手がかりにする方向からアプローチし、まず、現代の観世流のものではあるが、手附つきの謡本を対象にして分析をすすめている。
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