2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710305
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 康二 神戸大学, 文学部, 助教授 (90269647)
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Keywords | 歌壇 / 結社 / 国学 / 本居宣長 / 江戸派 / 鈴屋派 / 松坂の一夜 / 賀茂真淵 |
Research Abstract |
本研究「近世後期都市江戸における歌壇・結社の研究」は、江戸時代後期、とりわけ文化・文政期から天保期にかけて、江戸を中心とする文化的状況を歌人・国学者の作った歌壇・結社という観点から研究するものである。三年間で行なった研究は次の三点である。まず歌書板本の購入および紙焼複写の入手であり、天保期を中心に二十点にのぼる。この歌書群の整理・分析により、近世後期の歌壇・結社の実状が明らかとなった。次に、鈴屋派(本居宣長門弟)の宣長学の諸相の解明であり、歌集注釈を中心に分析を行なった。これは近世後期の宣長受容の問題を胚胎している。第三として、「松坂の一夜」伝説の相対化であり、賀茂真淵の側から見た「松坂の一夜」を近世後期の資料等の読解を通して明らかにした。このことの解明により、国学結社の成立に関する結節点を見定めることができ、近代における国学継承の定説を相対化することができた。なお、三年間に雑誌等に発表した業績は以下の通りである。14年度は「をかし・おかし別語説の成立と受容」の一本である。15年度は「「松坂の一夜」の影-伊藤主膳僭称一件と楠後文蔵忠積」と「「漢意」の成立と展開」の二本である。16年度は「近世国学と古今集-『古今集遠鏡』における俗語訳の理論と技法」と「『美濃の家づと』の注釈法-先行注釈受容の諸相をめぐって」と「本居宣長の議論術-『くず花』をめぐって」と「「不可測の理」の成立と展開」と「和歌注釈の作法-『草庵集玉箒』における「例の病也」と「歌の魂なし」をめぐって」の五本である。
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Research Products
(5 results)