2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14710333
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田畑 智司 大阪大学, 言語文化部, 助教授 (10249873)
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Keywords | コーパス / 文体論 / 文体変化 / 言語変異 / 品詞タグ付け / 多変量解析 / 近代英語散文 / -ly副詞 |
Research Abstract |
本研究では17〜20世紀初頭にかけての大規模近代英語散文コーパスを構築し,欽定訳聖書以降の近代英語散文の文体的特徴を通時的視座および共時的視座の両面から記述しようと試みるものである。申請者のこれまでの研究で実績を挙げてきた文体統計学的手法を利用することによって,英語散文の文体における口語脈の発達や言語使用域における文体変異の相を説得力の高い客観的な形で提示することを目指している。本研究はまた、量的な観点から近代英語散文の文体の特質を明らかにし,近代英語散文の英語史上の位置づけ,体系化を行おうとするものであり,従来定説と見なされてきた知見を再検討する一方,コンピュータを利用して初めて可能となるような方法論を取り入れることで,Chambers, Gordonらによる先行研究を補完し近代英語散文の文体研究に新しい方向付けを行おうという試みである。研究計画二年目である本年度(平成15年度)は,以下の仕事を遂行した: 1 電子化した近代英語散文への文書情報標識および言語情報標識の組み込み法に関する基礎研究を行った。 2 数種類の自動品詞タグ付けシステムを実行して電子テキストに品詞タグ付与実験を行った。出力結果の比較研究の結果,最も精度が高く,かつタグの細分化が進んでいるCLAWS4の付与するC7タグセットを基に,文体論研究への応用に向けたスタイル・タグの実験を行った。 3 編纂中のコーパスの一部から抽出したデータを基に,多変量言語データの分析手法として,主成分分析と対応分析による解析結果を比較し,それぞれの長所と欠点を考察した。 4 パイロットスタディとして19世紀のDickensと18世紀のSmollettにおける-ly副詞の分布を量的観点から調査し,両者の文体的相違や-ly副詞に見られる年代的文体変化について考察を行った。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 田畑 智司: "コーパスとテクスト"英語コーパス研究. 第10号. 177-203 (2003)
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[Publications] Tomoji Tabata: "Differentiation of Idiolects in Fictional Discourse, in Hiltunen, R., S.Watanabe (eds.) Approaches to Style and Discourse in English"Osaka University Press. 278 (2004)
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[Publications] Tomoji Tabata: "Assessing Multivariate Techniques in Studies of Stylistic Variation in Texts : Cross-Examination of Principal Component Analysis and Correspondence Analysis『多変量解析を用いたジャンル・スタイル分析の方法論の比較研究』"徳島大学総合科学部. 67 (2003)
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[Publications] 田畑 智司: "電子化言語資料分析の方法論II"大阪大学言語文化部・大阪大学言語文化研究科. 57 (2003)
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[Publications] 田畑 智司: "Dickensにおける-ly副詞の分布:計量研究序説『レトリック研究の方法と射程』"大阪大学言語文化部・大阪大学言語文化研究科. 120 (2003)
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[Publications] 田畑 智司: "Browsing through the BNC with BNCweb『電子化言語資料分析の方法論II』"大阪大学言語文化部・大阪大学言語文化研究科. 57 (2003)
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[Publications] 田畑 智司: "電子化言語資料分析研究"大阪大学言語文化部・大阪大学言語文化研究科(印刷中). (2004)