2002 Fiscal Year Annual Research Report
真理が真理である根拠:Miltonと17世紀英国の政治・宗教論争の研究
Project/Area Number |
14710342
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Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
冨樫 剛 都留文科大学, 文学部, 講師 (30326095)
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Keywords | ミルトン / 初期近代イギリス / イギリス内乱(清教徒革命) / 印刷文化 |
Research Abstract |
平成14年度、私は先に提出した「研究の目的」の内、特に1.「信用」の問題の観点から内乱期イギリスの政治資料を読み直すこと、を中心に研究を進めた。その中で、「研究の目的」2.Miltonの自己表象の問題、および3.出版文化の問題についても調査・考察を試みた。 以上の成果は、一部日本ミルトン・センター第52回研究会(平成14年7月6日、同志社女子大学)にて報告された(「国王処刑--Milton, The Tenure of Kings and Magistratesについて」)。要旨は以下の通りである。 1.Putney会議以降Charles I処刑に至るまでの過程を概観し、国王一般の処刑、およびCharles個人の処刑についての様々な言説を確認。 2.The Levellersの著作とMiltonのThe Tenure of Kings and Magistrateにおける共和制の言説を比較。 3.Miltonと敵対する立場にあった長老派Samuel RutherfordのLex, RexとMiltonのTenureにおける議論を比較。以上により、Charles処刑を正当化するにあたって、Miltonが複数の言説に依拠していることを指摘。 4.Charles処刑後の残部議会の政策を概観し、Charles処刑および議会の正当化が困難であったことを論証。 5.この困難な目的を達成するために議会が行った情報操作を概観。 6.Tenure第2版の出版にあたって施された修正・加筆について考察。ここにCharles処刑の正当化および残部議会の擁護--その信用性の確立--という外的な要請に応えようという意図が垣間見られることを指摘。 この報告以降、MiltonのTenureに関するさらなる考察をすると同時に、自然哲学と政治の接点であると考えられるHobbesらについて調査を進めている。
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