2004 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータコーパスを利用した英語発達史の計量的研究
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14710344
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
家入 葉子 京都大学, 文学研究科, 助教授 (20264830)
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Keywords | 歴史言語学 / 計量言語学 / 写本研究 / 中英語 / 近代英語 / 統語論 / 非断定形 / 否定構文 |
Research Abstract |
今年度は、とくに初期近代以降の英語の発達に関するいくつかの成果を得ることができた。成果を大きく二つに分けるとすれば、一つ目が初期近代英語以降の助動詞doの発達である。助動詞doの発達は一般に1700年ごろをもって完成すると考えられているが、実際には、近代英語の後期に入ってからも、まだその用法は安定していない。18世紀の文学作品等20のテキストを調査したところ、いくつかの動詞やいくつかの統語環境において、著しくdoの発達が遅れていることがわかった。この研究成果は、2004年10月の日本英語英文学会九州支部第57回大会のシンポジウムでも報告し、またIsabel Moskowich-Spiegel Fandino & Begona Crespo Garcia (編)のNew Trends in English Historical Linguistics : An Atlantic Viewの中にも論文として公開している。 二つ目は、1900年以降の英語においても、さまざまな変化が進行中であることが明らかになった点である。特にアメリカ英語の発達に焦点をあて、その接続詞用法を分析した結果を、英語コーパス学会第23回大会で報告した。また一般にdifferentは前置詞としてfromを取るが、fromの代わりにthanを使用する構文の拡がりも近年著しい。Different thanの拡大の様子を分析したものをEnglish Todayにおいて報告した。そのほか、sort ofとkind ofの対立、形容詞の叙述用法と限定用法の比率がさまざまな要因によって異なることが明らかになりつつあるが、これは現在のところ、まだ調査の途上にある。いずれにしても、1900年以降の英語においても、計量的かつ詳細な調査を通して、変化が進行中であることが明確になりつつある。
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Research Products
(7 results)