2003 Fiscal Year Annual Research Report
メディアとしてのコンピュターが拓く「テクスト」の新しい可能性
Project/Area Number |
14710356
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
明星 聖子 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (90312909)
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Keywords | 文献学 / コンピュータ / メディア / テキスト / 図書館 / 書物 / 出版 / アーカイブ |
Research Abstract |
前年度までの研究によって、コンピュータ文献学が今後集中的に取り組むべきは、次の問題点だというところまで行き着いていた。すなわち、文学テクストを画像としてデータ化していくのか、あるいはテキストとしてかである。今年度よりその検討に入っていったが、そこで明らかになったのは、それをさらに以下の3点から考察する必要性である。すなわち、1)メディア、2)図書館、3)出版ビジネスという視点である。もう少し具体的にいえば、メディアとしての紙の「書物」の「制約」が「書く」現場および「文学」という制度にどのような影響を与えたのか、また同様に図書館という公的機関が果たしてきた機能はどうか、さらには出版という行為にまつわる利害関係はどうかである。コンピュータとは、新しいメディアであると同時に、新しい画期的なアーカイブ機能、さらには新しい出版と流通の機能も備えている。だからこそ、コンピュータに託す、「文学」ならびに「文献学」の未来は、これらの機能についての過去の状況を歴史的に分析し複合的に考察し直してはじめて明確にみえてくるのである。 さっそく1)に関しては、その助走として従来からのテーマであったカフカの問題と絡めながら、すでに小論をまとめた。また現在3)に関しても論文を執筆中であり、来年度5月の日本出版学会での発表を予定している。また2)についても、3)の論文がまとまり次第それとの関連のなかで執筆し、できれば来年度中に情報処理学会の研究会にて発表するつもりである。さらに、年度末には仕上げとして、こうした研究成果から、どんなデジタルコンテンツとしての文学テクストが浮かび上がるのか、そのレベルでの提案にまで到達したいと考えている。
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Research Products
(1 results)