2002 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ・初期ロマン主義詩学の展開における自然科学と修辞学の影響関係について
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14710358
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮田 眞治 神戸大学, 文学部, 助教授 (70229863)
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Keywords | ドイツ・ロマン主義 / 詩学 / 修辞学 |
Research Abstract |
ドイツ初期ロマン主義詩学の展開における詩学と修辞学の関係を研究するにあたり、本年度は、まず基礎資料の収集に力を注いだ。 修辞学関係の基礎資料を収集し、イエナ・ロマン派の詩人たちが基礎的素養として共有していた修辞学の知識体系を明確化するため、当時の修辞学の教育状況に関する研究を参照し、さらにベルリン・ドイツ国立図書館で参考文献を収集した。特にノヴァーリスとさなざまな共同プロジェクトを構想していたF.シュレーゲルに関しては、彼の修辞学関係の素養と実作の関係に関する浩瀚な研究書が刊行されたこともあり、これまでより広い視野で今後研究を進めることが可能となった。 ロマン派の自然科学研究に関しては、現在進行中の『ノヴァーリス著作集』翻訳刊行プロジェクトの実施責任者として、他の訳者との共同研究、さらに学際的研究組織「シェリング協会」のメンバーとの討議を通じて、とくに化学・生物学関係に関する情報を集め、近年とみに刊行されているこの方面の研究書を通して、最新の知見の獲得に努めた。さらに、ベルリン・ドイツ国立図書館で、関連領域の基礎資料を収集した。 現在、学会誌「ドイツ文学」に、「研究史概観:ノヴァーリス」を執筆するよう、日本独文学会の依頼を受けている。戦後のノヴァーリス研究の世界的動向と注目すべき研究書を概括するこの論文にも、本研究の成果を活用する予定である。 本年度は資料収集に力を注いだが、来年度からは、資料収集を続行するとともに、その分析に取り掛かる。その成果は、来年度以降、『ノヴァーリス著作集』の翻訳・解説、ならびに個別の論文での発表を予定している。
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