2004 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ初期ロマン主義詩学の展開における自然科学と修辞学の影響関係について
Project/Area Number |
14710358
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮田 眞治 神戸大学, 文学部, 助教授 (70229863)
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Keywords | ロマン主義 / 詩学 |
Research Abstract |
今年度は修辞学と詩学の関連に注目しつつ、さらに収集した資料の分析を継続した。修辞学に対する関心は、直接的にFr.シュレーゲルに由来するものと想定されるが、特にノヴァーリスにおいてその関心はWirkungsasthetik的観点、比喩論的観点、配語法(構文論)的観点から展開されている。ここで注目されるのは、1)比喩論的・配語法的観点における、言語に内在する独自のメカニズムに対する注目と、2)そうした自律的組織体である言語をGemutに対する作用の媒体とみなす視点の相互作用である。この相互作用を考察するときの鍵になるのが、当時の化学・数学・生理学であり、連続性と離散性、有縁性と恣意性という対立項の内在的な関係がその考察の核心となる。ノヴァーリスの出発点である『Fichte研究』は、<力>と<記号>という二つの概念を出発点として展開され、すでにそこでは上記の諸対立の内在的関係が問題となっていたことは明確だが、後のノヴァーリスはそれらの問題を"Figur"という概念を連結点として接続する多様な諸領域において考察していった。特にRitterとの交流は、1)Klangfigur(音響振動図形)に代表される<力の表出モデル>の言語論(Urschrift/Naturschrift)への展開2)知覚理論における<力の連続性と離散性><書字の解読モデル>の展開を通じてノヴァーリスおよびFr.シュレーゲルに決定的な影響を与えた。 ここでの研究の成果は、雑誌『ドイツ文学』に2005年掲載予定の論文として発表し、その後資料を増補した形で単著として刊行する予定である。また、この研究期間における資料収集・分析の成果は、現在、編集作業中の『ノヴァーリス全集』における理論的テクストの翻訳・注釈・解説に全面的に取り入れられる
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