2003 Fiscal Year Annual Research Report
中国・四国地方における刑事弁護活動の法社会学的実証研究
Project/Area Number |
14720003
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
畑 浩人 広島大学, 大学院・教育学研究科, 講師 (80325133)
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Keywords | 刑事弁護 / 国選弁護人 / 当番弁護士 / 刑事裁判 / 弁護士 / 弁護人 / 法律事務所 / 弁護士会 |
Research Abstract |
今年度は、各地域の刑事弁護活動を多角的に認識するために、刑事司法統計の収集・分析と、刑事裁判関係者(主に弁護士)からの情報収集を行った。 1 司法統計については、当番弁護士の普及により刑事弁護の依頼件数が急増しているものの、その後も弁護を受任して捜査段階で継続的に弁護活動を展開する例は微増であった。この知見によれば、弁護活動に対する需要が強いとまでは言いきれないので、現在予定されている被疑者段階の国選弁護導入には、かなり対象を制約する形式で弁護サービスが供給されることになろう。 2 刑事弁護活動に対する客観的な視点を獲得するため、当事者以外の意見も聴くことにした。そこで、知人の検察事務官から地域の刑事弁護人に対する意見を聴取したところ、検察実務の世界が安定した形で存在することは認識できたが、刑事弁護人との接触頻度が少ないため、現行実務の問題点は明らかにならなかった(おそらく実務家自身には認識されないのかもしれない)。 3 中国・四国地方の刑事弁護活動の実態を調査するため、各地の裁判所刑事法廷において刑事裁判を傍聴し、刑事弁護人の活動を観察した。各刑事裁判において弁護人を担当した弁護士に面接調査の依頼をし、協力を得られた限り面接調査を行った。現段階では、四国地方を中心に19名の弁護士に対して面接を実施できた。これに中国地方も含めれば、80名には達するだろう。 知見によれば、各地域で業務における刑事弁護の比重の高い弁護士が存在し、専門的な業務分野を確立してる例も散見された。また、各地域の実務家が対外的そして内部的にも固有の実務スタイルをすべて認識しているわけではない状況が知られたので、各地での観察と面接による調査の意義が予想したよりも大きいことが判った。
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