2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14720011
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 祐介 岡山大学, 法学部, 助教授 (50304291)
|
Keywords | パートナーシップ / 組合課税 |
Research Abstract |
本年度は、研究実施計画書に従い、最高裁平成13年度7月13日判決(判例時報1763号195頁)を踏まえた上で、労務の提供と組合課税方式の関係について、アメリカ・パートナーシップ税制の議論状況を踏まえつつ、検討を行った。 1.アメリカ・パートナーシップ税制における労務出資の取り扱いにおいて大きな影響を及ぼしているのは、資産の含み益について出資時課税繰延べ(不認識)が行われていることであり、これにより労務や資産の定義についての複雑な問題が回避されている。したがって、労務提供時に提供者について課税を回避するためには、資産出資時の課税繰延べが肝要と思われる。 2.アメリカ・パートナーシップ税制においては、資産・労務出資について、出資時課税繰延べの取り扱いが行われているが、これとは別に、パートナーシップ=パートナー間の取引(資産譲渡・労務提供)については、パートナーが「パートナー以外の立場で行為している場合」パートナーシップと第三者との取引とみなすとされている。このような取り扱いは前記資産・労務出資の取り扱いと直接に軋轢をもたらし、アメリカ・パートナーシップ税制においても深刻な問題をもたらしている。(1)出資時課税による出資の阻害除去と(2)パートナーシップ=パートナー間取引取り扱いの簡素化の両立が何らかの明確な基準ではかられるべきである。 上記研究成果は、岡山大学法学会雑誌53巻1号に掲載予定である。なお、最高裁平成13年度7月13日判決について、税法学548号111頁に判例評釈を掲載したが、本研究の前提研究であるので研究成果として挙げていない。
|