2004 Fiscal Year Annual Research Report
地方交付税等の地方公共団体のための財政調整制度に関する憲法学的考察
Project/Area Number |
14720013
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
井上 亜紀 佐賀大学, 経済学部, 助教授 (20284466)
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Keywords | 地方交付税 / 財政調整 / 連邦制 |
Research Abstract |
これまでの研究は、日本の地方交付税等の財政調整制度との比較研究のために、ドイツにおける諸州間財政調整制度に関する判例、論文、政府等報告書などの資料を収集し、それらの文献研究を中心に進めてきた。ドイツの諸州間財政調整制度とは、地域間の財政格差をなくすために一般財源の移転を行う、ドイツ基本法(憲法)上の制度であるが、日本の地方交付税とは異なり、連邦政府(中央政府)による配分ではなく、州と州との間で直接、財源の移転が行われる点に特徴をもつものである。東西ドイツの統一後、旧東側諸州の経済復興がなかなか進まないために、この財源移転は旧西側諸州にとって重い負担となっており、近年のドイツでは、この調整のあり方が大きな政治的課題としてだけではなく、総論としては基本法の財政調整の理念や連邦制のあり方など、各論としては社会保障費等の取り扱いなどの憲法問題として議論されるまでに至っている。これまでの研究によって、ドイツにおけるそれらの議論状況についてはほぼ把握することができ、現在は論文としてまとめる作業に入っているところである。 他方、日本の地方交付税等の研究については、従来の一般的な理論については把握しているものの、政府のいわゆる三位一体改革が進行中であり、これにともなって義務教育費の扱いなど具体的問題を含む新たな議論があり、今後はこれらの整理、検討が必要であると考えている。
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