2003 Fiscal Year Annual Research Report
協同組合から資本会社への組織変更に関する比較法的考察
Project/Area Number |
14720030
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
多木 誠一郎 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (50324364)
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Keywords | 協同組合 / 組織変更 / ワーカーズ・コープ / マサチューセッツ州法 / 協同組合的株式会社 / 労働者協同組合 / ドイツ法 / 法形式変更 |
Research Abstract |
わが国における組織変更についてより深く考察するため比較の視座に置くべく、15年度は外国法研究を行った。外国法研究の対象として、主としてドイツ法(及び部分的にアメリカ法)を取り上げた。ドイツ法考察の結果、以下のような知見を得た。 1.包括的規定 1995年から施行された組織変更法では、株式法に置かれていた旧規定と異なり協同組合が、株式会社のみならずあらゆる資本会社に組織変更するための規定が置かれている。 2.組織変更が行われる背景 法形式選択に際して一般に大きな影響力を有する税法の観点からは、資本会社に変更した場合にメリットはない。税法に関しては協同組合と資本会社は、基本的にはイコールフッティングである。組織変更がなされる背景として、純然たる組織上(私法上)の理由を挙げることができる。第一に、協同組合法では自己機関性が厳格に要求されており、業務執行者として適任者を得にくい。第二に、小規模協同組合では組合員の最低人数が法定されているため、この点につき規制のない有限会社に組織変更する。第三に、大規模協同組合では主として資本調達上の理由である。自己資本の形成については、手段が持分増額と複数持分の導入に限られる。その上資本拠出が組合における発言力(議決権付与)の拡大に繋がらず、しかも投下資本回収手段が保障されていない。資本拠出するインセンティブが組合員には大きくない。それゆえ資本調達がより容易な資本会社に組織変更する。 3.組織変更手続き 組織変更は組合員たる地位に大きな影響を及ぼすため、組合員総会の特別決議が要求される。組織変更の是非を組合員が判断するのに資すべく、広範な情報提供が行われる。理事会が作成する組織変更報告書に加えて、監査団体による組織変更監査報告書の作成が要求されているのが特徴である。その際組合員のみならず債権者の利益について意見を述べることが、監査団体に要求されている。
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Research Products
(1 results)