2002 Fiscal Year Annual Research Report
請負契約理論の再構築のための実態調査とそれに基づく問題点の抽出
Project/Area Number |
14720036
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
芦野 訓和 駿河台大学, 法学部, 助教授 (40298039)
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Keywords | 請負契約 / ドイツ請負契約 / 製作物供給契約 / ドイツ債務法 / 下請負 |
Research Abstract |
本年度は研究目的達成のために必要な資料及び情報の収集に主眼をおいて研究を行った。具体的には、以下のような研究を行い成果を得た。 1.我が国の実務 我が国の実務における動向を探るため、大成ユーレック法務部長の深田公利氏にヒアリングをし、実務において請負契約がより重要となっていることを確認した。ただし、そこでは必ずしも的確な法解決がなされているとはいえず、法的な枠組みが望まれているとの証言を得た。また、いくつかの問題点の指摘(例えば、売買契約との混合契約である製作物供給契約は実務では盛んに行われおり、請負との対比で研究が必要なのではないか、との指摘)も得ることができたので、これらをふまえてアンケートの準備に取りかかっているところである。 2.国際的な取り組みについて 現在ヨーロッパでは法統一に向けた動きが盛んであり、ドイツにおいても法改正が行われ2002年1月より新債務法が施行された。そこで、ドイツの法改正の背景とその後の動きを調べるため、ドイツ・ミュンヘン大学リース教授にヒアリングを行った。それにより、ドイツ債務法改正はもっぱら売買契約法の変更を主眼においたものであり、請負契約法については必ずしも充分な法改正が行われていないことを確認した。法改正の際の議論では、建築私法も新債務法に組み入れるべきであるとの提言もあったが実際には行われておらず、売買法との対比で若干の修正がなされただけで、未だ問題は残されているようである。この問題を解決するためには、売買法と請負法の歴史をふまえた上で、実務にあった理論の構築が必要なのではないかとの指摘を得た。そこで、それらについて調査・分析するためフライブルク大学にて図書館司書の協力を得て作業を行った。その結果については、来年度中に報告予定である。 3.まとめ 以上のように、本年の調査研究により、様々な問題点を浮かび上がらせることができた。来年度は、これらの問題点について詳細に研究することにより、基礎理論の再構築に努める予定である。
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