2002 Fiscal Year Annual Research Report
船荷証券の各種記載事項の個別的性質とその効力に関する基礎理論の構築と応用
Project/Area Number |
14720038
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
箱井 崇史 早稲田大学, 法学部, 教授 (60247202)
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Keywords | 国際海上物品運送法 / 船荷証券 / 海商法 |
Research Abstract |
14年度は、1924年船荷証券統一条約およびわが国の国際海上物品運送法を素材として、船荷証券の記載と運送品の関係を明らかにする基礎理論の構築を試みた。まず、運送品の「個性」に関する記載と「数量」に関する記載について、それぞれの運送品識別機能を分析していたところ、前者について、とくに「運送品の種類」の記載に関するわが国の学説の理解に疑問が生じた。そこで、前提として、「運送品の種類」に関する別個の分析を行い、この記載の意義に関する次のような仮説を得るに至った。 船荷証券統一条約(以下、統一条約という)は、運送品の種類の記載を運送品の同一性識別のための記載としては重視しておらず、運送品の個性については記号による識別を運送品特定の原則的基準として示していると考えられる。すなわち、統一条豹3条3項(a)の定める主要記号は、同(b)の定める数量とともに、運送品の特定のための記載事項として法定されたものであり、このための記載事項としては完結的な列挙であると考えるべきである。したがって、これに加えて運送品の種類の記載をも運送品の同一性識別のための重要な記載であると認識するわが国の通説の見解は疑問である。実際、運送品の種類の記載の同一性識別機能は、その機能局面においても、機能の効果においても重大な限界が認められる。 そうすると、運送品の種類が国際海上物品運送法において法定記載事項とされている趣旨は、運送品の識別機能とは別個に認められるべきものと考えられる。本研究では、この記載が信用状の利用において必要である荷送人を保護するため、運送人がこの記載を原則として拒絶しえないとするところにかかる記載の主たる意義が認められることを指摘し、この記載を絶対的記載事項と見るべきではないことを主張した。
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Research Products
(1 results)