2002 Fiscal Year Annual Research Report
英米法におけるプロシード(proceeds・価値変形物)概念の検討
Project/Area Number |
14720041
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小山 泰史 立命館大学, 法学部, 助教授 (00278756)
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Keywords | 譲渡担保 / 集合物 / 集合動産 / UCC / 統一商事法典 / 価値変形物 / プロシード / 信託 |
Research Abstract |
研究初年度として、本年度は研究の方向性を見定める基礎作業を行った。具体的には、英米法の最近の立法や判例の動向を、Lexis-NexisやWest-Law等のデータベースを用いて資料を収集し、検討を加えた。 その結果、まず、統一商事法典UCC第九編の定める「通常の営業過程(取引過程)における買主」(buyer in the ordinary course of business)の法理について検討する必要を見いだした。この法理をめぐる議論は、日本法における流通過程における所有権留保において、サブディーラーが倒産し、ディーラーがユーザーに所有権留保物を返還請求した場合、ディーラー(売主)がサブディーラー(買主)に対し買主自身の名で転売する権限を授与したときは、ユーザー(転買人)に直接所有権が移転するとする、いわゆる「黙示の処分授権」構成と共通する部分がある(最〔二小〕判昭50・2・28民集29巻2号193頁他参照)。流動集合動産譲渡担保における個別動産の譲受人の地位は、当該処分が「通常の取引過程」でなされた場合・集合物譲渡担保の効力を切断されて当該動産を取得しうる。すなわち、流通過程における所有権留保のディーラー=集合動産の譲渡担保権者、サブディーラー=譲渡担保設定者、ユーザー=個別動産の譲受人、という対比が可能である。よって、例えば、具体的事例で、どのような買主であればその法理の保護を受けうるか、何よりも、どのような取引が「通常の取引過程」とされているか、等の点で、「通常の営業過程(取引過程)における買主」法理を検討する必要がある。 近時、集合動産譲渡担保につき、新たに登録制度を対抗要件として設ける立法案が提示されていている(ジュリスト1238号・金融法務事情1666号を参照)。上記の論点は、この立法案で示された問題点でもあるため、次年度以降詳しく検討していきたい。
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