2002 Fiscal Year Annual Research Report
民事訴訟における移送―当事者間の衡平を図る移送を中心に(民訴法17条)
Project/Area Number |
14720043
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
安西 明子 福岡大学, 法学部, 助教授 (40278247)
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Keywords | 移送 / 管轄 / 裁量 |
Research Abstract |
本研究では、いわゆる裁量移送(主に民訴法17条)につき、当事者の観点、裁判所の裁量に対する当事者の関わり方という視角から検討を行うことを目的としている。そこで、まず、平成以降に公刊された移送に関する決定をすべてリストアップし(現在のところ約40件)、そのうち代理人弁護士がついている比較的新しい事件について、担当弁護士にインタビュー調査を行った。現在のところ、代理人の記憶と事件記録が残っている可能性が高く、民訴法改正の平成10年を挟んだ平成8年以降の事件を調査対象として、今年度は、約15件につき一方または双方の代理人弁護士(事件によっては一方についた複数代理人のそれぞれ)へのインタビューを終了し、そのうち一定数の事件で事件記録などの資料提供も受けた。残り事件については、来年度も調査を実施予定である。 現在までの調査で、対象事件それぞれにつき、決定文には現れない移送審理の手続過程、当事者それぞれの攻防とそれへの裁判所の関与について、具体的な経過とそれに対する代理人弁護士の見解を知ることができた。そのほかに、移送判断の一要因と考えられている集中証拠調べと電話会議、テレビ会議システムの現行法下での実施状況や、それらの実務の運用状況についての地域差などについても情報が得られた。ただし、平成8年から現在までの事件の比較による平成10年の条文改正による実務の影響、変化まではまだ明らかでない。 また、比較法の見地からも、移送にとどまらず、広く裁判所の手続裁量に関して、ドイツとアメリカの状況を中心に検討中である。
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