2002 Fiscal Year Annual Research Report
介護保険法制における参加および利益調整システム構築に関する研究
Project/Area Number |
14720049
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
平部 康子 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (60316164)
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Keywords | 介護保険 / 参加 / 利益調整 / 施設の規則 |
Research Abstract |
本研究は、日本およびベルギーの介護保険の比較を通じて、利用者の権利を実現させるために必要な介護保険制度における各法主体の参加および利益調整のシステムを構築することを目的としているが、本年度は、特に施設および利用者の法的関係に着目して検討を行った。 ベルギーにおいても施設と利用者が締結する契約により個別の権利義務関係が決定するという点では、日本と同じ構造をとっている。しかし、施設が全体としての統一性を確保するために作成する規則(het reglement van orde)について、わが国の介護保険法は注意を払っていない。一方、ベルギー介護保険法は、民間・非営利団体の施設の営業の自由を認め直接的な規制はしていないが、施設が規則を作成・変更する際に利用者を関与させる規定を設けている。この枠組みは、わが国でいえば、労働基準法による就業規則の規制に類似しているといえよう。ただし、施設の入居者の特質を考慮し、意見聴取や参加の前提となる情報についても、介護保険法は必須情報提供事項を施設側の義務として課している。サービス提供機関の公正な競争と交渉能力が不十分な利用者の保護という目的を実現するための法的規制の方法として、ベルギーの手法は示唆する点が多いと考える。
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