2002 Fiscal Year Annual Research Report
冷戦終結後の世界における米国の武力行使をめぐる同盟諸国の外交政策の研究
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14720060
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
吉高神 明 福島大学, 経済学部, 助教授 (80258714)
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Keywords | 武力行使 / 同盟外交 / 地域紛争 |
Research Abstract |
本研究の目的は、冷戦終結後の世界における米国主導の武力行使に対する日本、ドイツ、カナダの対応を実証的に調査し、各国の外交政策の類似点と相違点を比較検討することにある。この場合、主要な問題関心は、冷戦終結後の世界において国連の枠内で実施される強制行動と国連の枠外で実施される米国主導の強制行動(個別的、集団的自衛権に基づく単独及び同盟を通じた強制行動)との相互関連性とを念頭に置きつつ、米国の主要な同盟諸国の外交政策の考察を行うことにある。 本年度については、主として次の二つの作業に従事した。第一は、冷戦終結後の世界における米国の武力行使の実例を実証的に調査し、国連の枠内と枠外でのそれぞれのアプローチの比較を行い、類型、特徴、問題点などを明らかにする作業である。なお、この場合の主たる理論的関心は、各種統計データに基づく時系列的分析及び国際政治学における文献解釈を中心にして、1)経済、金融、情報などの分野を中心とした米国主導のグローバライゼーションの進展、2)国際刑事裁判所設立問題、地球温暖化問題、地雷禁止条約などに見られる米国のユニラテラリズム外交、及び3)世界秩序樹立及び自国の国益確保のために冷戦終結後頻発する米国の武力行使の発動の三者の関係について整理することにあった。第二は、国連の集団安全保障及び平和維持活動、集団的自衛権に依拠する地域同盟行動、及び個別的自衛権に基づく単独武力行使などの関係を、冷戦終結後の湾岸戦争以降の地域紛争、内戦、テロ・国際犯罪などの文脈において理論的に明らかにし、その観点から米国主導の武力行使の正当性と有効性とを評価する作業である。この点については、国際法や国際政治学における主要な先行研究を中心に考察を行った。 今年度の研究成果は、平成15年度中にまとめる予定である。
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