2002 Fiscal Year Annual Research Report
欧州統合と地方分権下のフランスにおける政策過程分析
Project/Area Number |
14720061
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
佐川 泰弘 茨城大学, 人文学部, 助教授 (50311585)
|
Keywords | EU / 地方分権 / フランス / 中央-地方関係 / 政策過程 |
Research Abstract |
当該研究課題に関わって、本年度は、(1)フランスの中央および地方での政治・行政エリートの支配構造を利益誘導という観点から捉え直す作業と、(2)EU・国家・サブナショナル・レベル間での政策過程をガバナンス概念を用いて説明する作業を行った。 (1)に関していえば、1995年に発表した公職兼任に関する論考を発展させる形で、まずフランスにおける大物政治家(ノタプル)が中央および地方で公選職を兼任するシステムの現状(前論文以降、今日までの状況)を把握した。その上で、それが地元選挙区へのいわゆる「利益誘導」に有効に作用していること、このシステムはフランスにおいても問題視され、最近までに(2001年)改めて制限強化が行われていることが明らかとならた。これらの内容について、現在論文執筆中であり、当論文を収めた各国の利益誘導政治に関する図書が、2003年秋に出版される予定である。 (2)に関していえば、欧州統合、各国内での「小さな政府」を指向する行政改革、地方分権によりヨーロッパ空間における政策過程が「マルチレベル・ガバナンス」という概念で捉えられるという議論が行われていることをヨーロッパ・レベルでの政策過程の制度と併せて紹介し、その是非や国家の行方を考察した。国家が単純に弱体化しているという議論は妥当ではなく、国家は少なくとも「同輩(様々なアクター)中の第一人者」であることは間違いない。このことを述べた論文を収めた図書が2003年3月に刊行された(裏面に記載した図書)。 また、欧州統合や地方分権との関わりで、フランスの政党組織がどのように変化してきたかを考察するための予備的作業として日本選挙学会で報告を行い、報告用ペーパーを修正して茨城大学政経学会雑誌に発表した(裏面に記載の雑誌論文)。
|
Research Products
(2 results)