2003 Fiscal Year Annual Research Report
欧州統合と地方分権下のフランスにおける政策過程分析
Project/Area Number |
14720061
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
佐川 泰弘 茨城大学, 人文学部, 助教授 (50311585)
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Keywords | EU / フランス / 地方分権 / 中央-地方関係 / 政策過程 |
Research Abstract |
当該研究課題に関して、本年度は前年度に引き続き、(1)フランスの中央および地方での政治・行政エリートの支配構造を利益誘導という観点から捉え直す作業、(2)フランスの地域圏、県、市町村の3つの地方レベルでの政策決定過程の分析を中心的課題とした。 (1)については、昨年度来得られた一定の知見を論文としてまとめる作業を行った。その際、公職兼任という制度がフランス社会において一定の「合理性」をもって機能していること、ここで大物政治家(ノタブル)が果たしている役割は、「利益誘導」という概念で説明できることを明らかにした。本論文は裏面に記載した図書に所収され、2004年4月中に公刊されることになっている。また、2004年3月に日仏会館フランス事務所、在日フランス大使館、日仏政治学会が主催した日仏シンポジウムにおいて、この研究の内容を報告し、「利益誘導」概念を用いることの可能性について、フランス人政治学研究者に対し問題提起を行い、一定の意見交換を行った。 (2)については、一週間程度フランスに渡航し、文献資料収集を行った。これらの文献から、ガバナンス概念を用いた政策過程分析はフランスにおいても少なくはないことは、さらに明確になった。ただし、ケース・スタディを行うには、実例のさらなる取材が必要である。 なお、本研究課題との関わりで、2003年10月に開催された日本政治学会研究会において、フランス国家の欧州統合への対応について研究報告を行った(「ヨーロッパ統合をめぐる葛藤、統合入の適応:フランスの場合」)。また、2003年6月に行われた日本公共政策学会研究会において、ガバナンス概念を考えるにあたっての問題提起を行う研究報告も行った(「公共政策過程におけるガバナンス:統治の広がりと国家の強さ」)。
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Research Products
(1 results)