2004 Fiscal Year Annual Research Report
欧州統合と地方分権下のフランスにおける政策過程分析
Project/Area Number |
14720061
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
佐川 泰弘 茨城大学, 人文学部, 助教授 (50311585)
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Keywords | EU / フランス / 地方分権 / 中央-地方関係 / 政策過程 |
Research Abstract |
当該研究課題に関して、本年度は、(1)フランスの中央および地方での政治・行政エリートの支配構造を利益誘導という観点から捉え直す作業、(2)「計画契約」を素材としたフランスの地域圏、県、市町村の3つの地方レベルでの政策決定過程の分析、(3)フランスでは2003年に新たに行われた分権改革(憲法を含む法制度改定)の結果生じた新たな状況を把握し、それが政治・行政アクターに及ぼす影響の検討を課題とした。 (1)については、フランスにおいて、大物政治家(ノタブル)が中央および地方で公選職を兼任するシステムが、「利益誘導」にどのように作用しているのかという昨年度までの研究成果を今年度冒頭に刊行した(裏面「図書」)。その後も、元首相の汚職裁判の動向を把握した。 (2)については、アキテーヌ州の最新の「計画契約」に関する資料を入手し、分析を行った。「ガバナンス」をキー概念として来年度中に研究論文にまとめ、公刊する予定である。ただし、政策過程の詳細についてはまだ不明な点が多いため、さらに時間をかけてボルドー市において調査を行う予定である。 (3)については、制度改変の概要は把握した。この点については、他のフランス地方行政研究者と意見交換の上、認識を一致させた。ただし、この制度改変が政治・行政アクターにどのような変化を及ぼしたかという点については、フランス現地でも本格的な研究成果の発表が見られない。むしろ、中央-地方関係においては、制度改変にかかわらず、(1)の「利益誘導」が本質的な要素を占めていると思われる。
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