2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14720065
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
若松 邦弘 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (90302835)
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Keywords | 政治学 / 政策過程 / 統治 / グローバリゼーション / 欧州統合 / 西欧 / イギリス |
Research Abstract |
本研究は、グローバリゼーションと欧州統合という二つの外的環境の変化が、90年代以降のイギリスの政治システムにもたらした変容を、文献資料の分析と関係者へのインタビューをもとに検討するものである。具体的には、サッチャー後の二政権(メージャー保守党政権、ブレア労働党政権)について、複数政策分野における政策過程とそれを巡る政治過程を比較分析することが中心である。本年度は、政策主体の多様化についての分析を行った。その詳細は下記の通りである。 (国内社会との関係について) 中央政府から地方への権限委譲に伴う地域制度の拡充と地方自治体の権限拡大を検討し、地方議会が設立されたスコットランド、ウェールズ、北アイルランドのみならず、イングランドでも90年代を通じ、サブナショナルなレベルを重視する統治体制の拡充が進んでいる。とりわけ各種の政策分野における地域独自の戦略策定の動きが近年顕著であり、その過程で自治体、労使、さらに非営利組織をまじえた関係主体間の「協議」が強化されつつあることを明らかにした。 (国際社会との関係について) イギリス政府の外交政策の運営体制を検討し、戦略広報活動が対外政策の新しい分野として確立されつつある。その過程では経済・文化関係省庁の政策への関与が拡大しており、このような多省庁・関係機関にまたがる「新しい外交」を調整すべく、省庁間の統括組織と戦略の構築が課題となっていることを明らかにした。 また今年度はこれらの分析とあわせ、次年度以降の分析課題である国家・社会関係の変容(とりわけ、非営利民間団体の活動拡大、新しいアジェンダに基づく利害の組織化)について、基礎資料の収集を行った。
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Research Products
(2 results)