2003 Fiscal Year Annual Research Report
中国江蘇省農村地域における村民自治化と基層政権の変容
Project/Area Number |
14720075
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
江口 伸吾 島根県立大学, 総合政策学部, 助手 (20326408)
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Keywords | 江蘇省 / 村民自治 / 基層政権 |
Research Abstract |
平成15年度の研究目的は、海外でのレクチャーの受講・ヒアリングを組み入れながら、研究状況を整理することにある。 (1)海外でのレビュー・ヒアリングの成果について 本年は、2003年9月5日〜9月14日にかけて、上海市・江蘇省における村民自治に関するヒアリング調査・資料収集を行った。とくに、陳文源教授(江南大学)をはじめとした研究者にレビュー・インタビューを行った。江蘇省農村地域においては、郷鎮企業の発展が村民自治の経済的基盤を提供しており、それが歴史的に観察され得るものであることに示唆を与えられた。また、昨年度にヒアリングを行った江蘇省蘇南農村地域近郊を訪問した。 ⇒島根県立大学第28回アカデミック・サロン(2004年1月28日)において報告。 (2)江蘇省農村地域の村民自治の動向に対する分析方法の考察について 本年度は、昨年度整理した中国の政治社会学の方法論による村民自治研究と海外でのレビュー・ヒアリングにもとづきながら、方法論を考察した。とくに、昨年度の中国の独自性に焦点を当てた方法論を補完するため、政治学の方法論の導入を試み、「補完性の原則」やコーポラティズム論に着目し、地域自治-地方政府-国家との関係を理論的に整理した。 ⇒一部を宇野重昭編『北東アジア学創成に向けて』(島根県立大学北東アジア学創成プロジェクト、2003年12月)に掲載。 (3)江蘇省農村地域における農村基層政権の変化について 改革・開放期以降の社会変動に対応した江蘇省農村地域における基層政権の変容の過程を考察した。とくに、ジャン・C・オイが提起した「ローカルな国家コーポラティズム(Local State Corporatism)」の概念を用いて、郷鎮企業を一種の中国的な利益集団(Interest Group)として捉え、国家と諸社会集団との関係性の変化から基層政権の変容の一端を明らかにした。 ⇒博士(政治学)学位請求論文として成蹊大学に提出。 ⇒以上の諸研究活動に関する報告は、『メディアセンター年報』No.4(2004年)に掲載される予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 江口伸吾: "北東アジア地域における重層的統治構造の形成-「補完性の原則」の視点から-"北東アジア学創成に向けて(宇野重昭編・島根県立大学北東アジア学創成プロジェクト). 2003年12月1日. 85-98 (2003)
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[Publications] 江口伸吾: "中国農村地域における村民自治-江蘇省を事例として-"島根県立大学第28回アカデミック・サロン. 2004年1月28日. (2004)
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[Publications] 江口伸吾: "中国江蘇省蘇南地域における農村基層政権の変容-改革・開放期の社会変動に対応して-"成蹊大学博士(政治学)学位請求論文. 1-165 (2004)
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[Publications] 江口伸吾: "中国江蘇省農村地域における村民自治化と基層政権の変容(活動報告)"メディアセンター年報(島根県立大学メディアセンター). 4号. (2004)