2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14720086
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
建林 正彦 関西大学, 法学部, 助教授 (30288790)
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Keywords | 官僚 / 新制度論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、異なる制度環境のもとでの、官僚の政策活動を分析することによって、制度と官僚の活動との因果関係を分析することであった。またその際、異なる官僚集団に対する意識調査(サーベイ)データを活用することで、サーベイデータを因果関係分析に取り込む、方法論的な発展を意図していた。さらに理論的には、官僚を目的合理的な行為者と仮定し、制度環境に適切に対応するプレイヤーと見る、合理的選択制度論のアプローチに立ち、その官僚分析における有効性を検証する意図を持つものでもあった。 本年は、第一に既存研究のレビューを通じて、そうした研究の方向性の確認、再検討を行った。そこで見出されたことは、近年、アメリカ政治学においても合理的選択制度論に基づく、実証的官僚制研究が、さまざまな創意工夫によって進展しつつあることであった。本研究は、異なるレベルにおけるサーベイデータのクロスセクション化によってこれを実現しようとするものであったが、Shipanらは、法律の条文における文言数を手がかりに、制度環境と政治家の官僚への委任の程度との因果関係を探ろうとしており、またそこからは大変興味深い、複数国間の比較研究が展開されていた。官僚制の実証研究には、方法論的にさまざまな試行錯誤、創意工夫が必要であり、サーベイデータだけでなく、客観的データを用いる方法についても検討する必要があること文献レビューを通じて再確認することができた。第に村松岐夫教授を中心とする三次の官僚サーベイデータを再検討し、因果関係分析に結びつく貴重なデータがいくつか存在することを確認した。
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Research Products
(1 results)