2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14720086
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
建林 正彦 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (30288790)
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Keywords | 官僚 / インセンティブ / エリートサーベイ / プリンシパル・エージェント |
Research Abstract |
平成15年度は、昨年度に引き続き、官僚のインセンティブメカニズムと政策活動に関する理論研究についてレビューと整理を継続した。一つの成果として、河野勝・平野浩『アクセス日本政治論』(日本経済評論社)において第3章「官僚」(p73-p95)を執筆した。同書は教科書ではあるが、プリンシパル・エージェントモデルを用いつつ、日本官僚制の特徴を比較論的に導く、新たなアプローチを示すことができたものと考える。たしかにこれまでにもプリンシパル・エージェントモデルを用いて日本官僚制研究は行われてきたが、その場合には、政治家をプリンシパルとし、官僚をエージェントとするという前提にきわめて類似した、政党優位論がそこから結論付けられる傾向が見られた。その結果、官僚優位を主張する論者によって循環論法ではないか、という反論を招くと同時に、二つの対立する見解の間では、しばしば証拠に基づかない水掛け論が展開されることになった。「官僚」『アクセス日本政治論』は、前提とそこから導かれる結論とを切り離し、プリンパル・エージェントモデルを純粋に分析方法として扱うことで、日本の政官関係分析に新たな一石を投じたものと考える。 また本年度は、官僚サーベイ調査の再利用を行うべく、村松岐夫を代表者とする共同研究会に参加し(なお同研究会は、科学研究費補助金・特別推進研究(2)「高度経済成長終了以後の日本政治の実証研究」による研究プロジェクトの一環である)、官僚サーベイデータを因果関係分析に用いる可能性について引き続き再検討を行った。
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Research Products
(1 results)