2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14730026
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山田 宏 広島大学, 経済学部, 助教授 (90292078)
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Keywords | 残差の和分系列 / 仮説検定 / シミュレーション実験 |
Research Abstract |
コーネル大学のVogelsang博士らは,2000年のEconometrica誌において興味深い検定手法を提案した。彼らのアイディアは,通常の線形回帰モデルのOLS残差をつかった系列の和分系列をつくりそれを利用して長期分散・共分散行列の推定を回避しようというものである。本研究課題は,Vogelsang博士らの研究を受けて新たな研究の展開を目指すものである。本年度は,Vogelsang博士らのアイディアを使い,多変量定常時系列過程の平均に関する仮説に関する研究を行った。多変量時系列の平均に関する仮説検定はベクトル事故回帰スペクトラル密度推定量を使って検定できることが知られている。しかし,これらの方法は,事前にベクトル自己回帰モデルのラグ次数を決定する必要があり,誤ったラグ次数を選択することにより,誤った結論を導いてしまう可能性がある。一方,今回の手法では,事前にラグ次数を決定する必要が無い。Vogelsang博士らの研究では通常の線形回帰モデルの枠組みで議論が展開されている。まず,彼らのアイディアを使ってベクトル事故回帰モデルの平均に関する仮説検定統計量を導き,その後検定量の漸近分布を明示した。その後,検定量間の小標本における相対的優位性に関する情報を提供することを目的にモンテカルロ実験を行った。その結果,従来の手法に比べて,今回の検定量はサイズのパフォーマンスにおいて大変優れた特性があることがわかった。この結果を,論文にまとめ,本年7月にオーストラリアで開催されるModsim 2003 International Congress on Modelling and Simulationにおいて報告すべく投稿している。
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