2002 Fiscal Year Annual Research Report
資本化仮説を応用した社会資本の純便益計測に関する実証分析
Project/Area Number |
14730031
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
赤木 博文 名城大学, 都市情報学部, 助教授 (30254270)
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Keywords | 社会資本 / 資本化仮説 / 便益 / 実証分析 / 公共投資 / 生活基盤型 / パネルデータ |
Research Abstract |
生活基盤型の社会資本整備について資本化仮説に基づいた分析を展開した。とくに生活関連の社会資本は必ずしも生産に貢献しないので、その便益を測定するのは、計測上困難であるという大きな問題点を抱えていた。 本研究では、Urban Economicsの分野で用いられてきたキャピタリゼーション仮説を応用するBrucknerモデルを一般均衡モデルに拡張し、かつ理論的な側面からキャピタリゼーション仮説の精緻化を行った。とくに、日本の制度にマッチするようにモデルを構築した。すなわち、Brucknerモデルでは固定資産税を社会資本整備の財源としているが、本研究では所得税や住民税などのより一般的な財源で社会資本を調達する場合にも適用できるように、モデルの改良をおこなった。さらには、機能別の複数の社会資本整備が行われるときに関しても分析の拡張を行った。 そのモデルを用いて、今年度はふたつの実証分析を展開した。第1は、生活基盤型の社会資本整備を一つと捉え、1976年から1998年までの都道府県のパネルデータを用いて、生活基盤型の公共投資の効率性について実証分析により明らかにした。分析の結果、おもに次の点が明らかとなった。すなわち、3大都市圏において、80年代を中心に生活基盤型の公共投資が過小であり、それ以外の地方の多くでは、生活基盤型の公共投資が過大となっている。また、バブル崩壊以降では多くの都道府県において生活基盤型の公共投資が過大であるという実証結果が得られた。これについては日本経済学会秋季大会において学会発表を行っている。 第2に、生活基盤型の社会資本整備を機能別に分類した分析では、生活道路、都市計画、下水道の評価は高いという結果が得られた。推定において一部の公共投資の係数が有意とならなかったため、さらなる分析の精密化を行う予定である。なお、この研究は日本財政学会において学会発表されている。
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