2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14730048
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Research Institution | Akita University of Economics and Law |
Principal Investigator |
本田 雅子 秋田経済法科大学, 経済学部, 助教授 (50306073)
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Keywords | EU / 労働市場 / 労働移動 / モビリティ / 高技術労働者 |
Research Abstract |
本研究は平成14年度〜平成16年度の3年間にわたり、EU大での労働市場調整制度の展開を追跡し、その展開がもたらすEU経済の実態面への影響を量的および質的な二側面から捉え、分析するものである。初年度である平成14年度では、まずはEUの労働市場および労働移動関連の政策文書を2000年〜2002年を中心に丹念に追い、2000年3月のリスボン欧州理事会以来、EUが欧州域内の労働のモビリティを高める方向に大きな舵取りを行ってきたこと、そのような政策展開はリスボンで立てられた目標と密接に関連していること、それらの政策は欧州の労働市場のパフォーマンスの向上に寄与してきたことを明らかにした。次に、EU大の労働市場のうち、特に高度な技術・専門知識を持つ労働者に注目し、そのような労働者に対するEUのモビリティ促進政策が近年、なぜ推進されるようになったのかその背景要因を分析した。その最大の理由は高技術労働者のモビリティを促進することによって生じる労働市場における就業機会の増大、アメリカのシリコンバレーのような高技術労働者の集積、個々人の意思決定による人的資本投資の促進というプラスの経済効果をEUが強く意識するようになったことであった。統計データから明らかになったEU労働市場の現状は、フィンランドとスウェーデンを例外としてEU諸国における高技術労働者の供給が圧倒的に不足しており、また、アメリカへのEU高技術労働者の「頭脳流出」が生じている状況にとどまっている。政策展開に対応した実態面への影響については研究期間の残りの2年間でさらに追跡していく。なお、平成15年3月に行った海外での資料収集および政策担当者へのインタヴューを通じては貴重な内部資料・情報が得られた。これについては平成15年度において分析・発表を予定している。
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Research Products
(2 results)