2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14730048
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Research Institution | Akita University of Economics and Law |
Principal Investigator |
本田 雅子 秋田経済法科大学, 経済学部, 助教授 (50306073)
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Keywords | EU / 労働市場 / 労働移動 / モビリティ / 教育 / 域内市場 / マルタ |
Research Abstract |
本研究は平成14年度々平成16年度の3年間にわたり、EU大での労働市場調整制度の展開を追跡し、その展開がもたらすEU経済の実態面への影響を量的および質的な二側面から捉え、分析するものである。平成15年度は、研究会での発表を通じて、1990年代後半から欧州委員会の政策文書に頻繁に登場するようになった「モビリティ」という言葉がそれまでのEUの労働者および人の移動に関する制度的発展のなかにどのように位置づけられるのかを考察した。さらに研究を重ね、年度末に発表した論文においては、2000年のリスボン欧州理事会以降のモビリティ促進政策の展開が、単一欧州議定書までの労働者の自由移動の容易化政策を、同議定書以後の研究者のモビリティおよび学生・教員のモビリティ促進政策とともに包括的に進めようという試みであること、このため制度的展開は欧州委員会内の教育・文化総局、雇用・社会問題総局、域内市場総局、リサーチ総局など様々な総局が互いに補完しあいながら進めていることを明らかにした。同論文では域内市場総局と教育・文化総局が行う政策を特にとりあげ、その意義について論じた。すなわち、域内市場総局によるEU市民の苦情処理制度、教育・文化総局が行う学生および教員の交換制度の展開、ユーロパスのようなEU市民のモビリティのためのツールは、その利用者が増大するにつれ、モビリティに関する現行制度の矛盾や問題点を浮き彫りにし、それにEUが対処せざるを得なくなるなかでモビリティに対する残存する障壁が除去され、EU大の社会的統合、労働市場の連結に寄与することを明らかにした。平成15年度は上述のモビリティに関する研究に加え、平成16年度に行われるEUの第5次拡大も視野に入れて労働移動の調整制度を展望する準備段階として、加盟予定国のなかからマルタ共和国を取り上げ、その労働市場の特徴とEU加盟による影響の分析も行った。
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Research Products
(2 results)