2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14730051
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
橋本 優子 東洋大学, 経済学部, 講師 (80333037)
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Keywords | マーケットマイクロストラクチャー / 為替レート / GARCH / TICHデータ / 金融危機 |
Research Abstract |
本研究では、昨年度に続き、CQG社提供によるブローカー提示の円ドルレートBID-ASKデータ(TICHデータ)に加えて、為替市場の気配値BID-ASKデータ(Firm quote)と取引価格transaction priceを用いて、為替市場のマイクロストラクチャーについて詳細に分析を行った。イベントスタディとして1997年秋の一連の日本における金融機関破綻が為替市場の取引に及ぼした影響の分析をおこなった。分析アプローチとして、月毎の影響の推計、各月別の推計結果の差について有意に異なるかどうかの検証、そして特定のイベント(破綻日)における市場の反応の検証という3段階の方法をとった。第一の月毎の影響の推計として、10分毎の最終値を用いて、為替リターンの分散の影響をGARCHモデルで推定した。為替リターンの分散には非対称性やvolatility clusteringの存在が明らかとなった。月毎に予期せざるショックからの影響を比べると、11月はサンプル期間平均に比べて低く、過去のreturn分散の影響が強いことが明らかとなった。第二の検証結果として、月毎の違いが有意であるかどうかを確かめるためF検定を用いた分析を行った。分散の非対称性の違いを月毎に検定した結果、11月とそれ以外の月が有意に異なることが判明した。以上の結果から、11月の一連の銀行、金融機関破綻が、為替リターンに影響を及ぼしたと考えられる。最後に、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券破綻の各日(前後3営業日)の為替市場の反応を検証するため、気配値のQuote数、値幅、気配値の更新頻度を計算した。また、それら変数の変化と破綻に関するニュースの関連を調べた結果、三洋証券のケースは破綻ニュースがほとんど為替市場に影響しない一方、北海道拓殖銀行や山一証券の破綻のケースでは、一般的な為替市場のIntradayパターンと異なる動きが市場で見られることが明らかとなった。すなわち、一連の銀行破綻によって為替の予想が難しくなり、取引形態に大きく影響したことが示された。
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Research Products
(1 results)